オフィス賃貸や鉄道建設以前に東京の中心をなしていたもの、それは道路の中心、日本橋でした。
日本橋の近くに大きな経済活動をなしていたもの、そして明治以後三菱と並びたつ財閥をなしているもの、それは三井です。
三井は江戸期から呉服商、そして両替商と発展してくるが、明治37年(1904)に三越をつくり、第一次大戦の始まる大正3年(1914)にその近代的建物が造られます。
三越のシンボルとして置かれたのが、ロンドンの先のロンバート街に並ぶトラファルガー・スクェアのシンボルたるライオンでした。
これを三越の歴史に借りれば、「・・・大正三年に竣工した東館の新建築は、地下一階地上五階のルネサンス式建物で・・・エスカレーターがついたのも、東洋で最初のもの。
・・・東玄関の左右に飾られた一対の青銅のライオンも、また人目をひきました。
このライオンは身長九尺、幅三尺五寸、高さ三尺九寸。
ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念碑の下のライオン像に形どり、イギリスの美術家に作らせたもので、・・・この新館の出現で、三越は名実ともに東洋剛の百貨店として、世界のデパートメントストアの一つに数えられるようになった。」(三友新聞社編『三越三百年の商法』)