「ベッドのサクは付けないでください。
足を出すのにじゃまですから。
心配だったら、頭のほうにだけ付けてください。
じゃ、ちょっとやってみてもらえますか」
娘さんに介助してもらう。
だが、病弱で腰痛もあり、コツがわからないこともあって、なかなか難しい。
「1日3回でいいんですがねえ。
食事のときだけでも、こうしてベッドから足を垂らして食べてもらうと、みるみる元気になります。
なに、すぐに1人で起きられるようになるはずですから、ほんの1週聞......」
しかし、娘さんは、いまひとつ乗り気ではないようだ。
介護が楽になるように、と相談に行ったのに、要求したエアマットを貸してくれないどころか、起きあがりの介助をしろと言うのだから、不満なのも無理はない。
老人のニーズに応じようとすれば、家族の負担を重くすることになり、家族のニーズに応じれば、老人が寝たきりになってしまう。